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おがくずと炭酸ソーダ―
ホテルの宴会業務には、いろいろなものがありますが、まだ私が新人研修を受けながら先輩から仕事を教えてもらっていた頃のことです。
宴会場では、第二次世界大戦へ行った戦友たちの同窓会。年齢もかなりいっているし、お酒もかなり入っていて、かなり危険な状態が続いていました。案の定、ロビーで酔っ払ったお客さんが、ゲロを吐いてひっくり返っていました。お客さんは、仲間がタクシーで連れて帰ったと思うのですが、新人の私に廻ってきたのが
ゲロの後片付けでした。・・・「最悪だ。何でこんなことをしなあかんね。」
腹立たしく思いながらも、先輩に連れられてホテルの施設管理へ。
何をしに来たのかと思うやいなや、「おがくずをバケツに入れて持っていくぞ。」・・・「何をすんねん、こんなもの」そして次は、宴会場の裏にある冷蔵庫から数本の炭酸ソーダ―を取り出して現場へ直行。
先輩は、私にまずはおがくずをゲロにかけるように指示しました。バケツからおがくずを取り出すとどっさりゲロの上にかけて混ぜ合わすというのです。次はそれをホウキとチリトリで回収し、ごみ袋の中へ捨てていきます。きれいに取り除いた後、炭酸ソーダ―をじゅうたんの上に惜しげもなくかけていきます。手際よく行う先輩に感心していると、それをぞうきんでふき取れというのです。
結局、ぞうきんのふき取り作業が終わってゲロ処理も終わり、現場退去となったのですが、よく聞くとおがくずは、水分吸収力がよく水分を含むと粘土のように固まるからゲロ処理には最適とか、また匂いも木の香りで抑えることが出来るので昔から使われる方法だそうです。炭酸ソーダ―もじゅうたんに嫌な匂いが残らないようにする秘策ということで教えられました。
ホテルで教えられた様々の経験は、今でもいろんな形で役立つことがいっぱいあります。ホテルは昔から世界中にあり、そこで働くスタッフは、お客様を喜ばせるためにいろいろなことを研究し、実践して参りました。その中で培われた知識や技術は、私たちの生活の中でも役立つことがたくさん含まれています。また機会があれば、そういったこともご紹介していきましょう。 |
2000/9/14 |
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